問いをくれるまち

この町はいつでも問いをくれる。

深夜2時の帰り道、自転車を押しながらちょっとゆっくり歩いてみる。

何千回も通っているはずの内湾から駅前にかけた道。

少し視点を変えて見てみると

「あれ、この屋号はなんて読むんだろう?」

「この細道はどこに繋がってるんだろう?」

「ここは元々どんなお店で、どんな人たちが通っていたのだろう?」

まるで初めての土地に来たかのような感覚になる。飽きない、それがいい。

 

ふと目を上にやってみると、なんと綺麗な星空が。

さっきからずっとそこにいたのに今の今まで全く気づかずごめんなさい、思わずため息が漏れる。

感傷的になって涙が出そうになっている自分が恥ずかしくなる。冬の寒さがそれを止めてくれた。

 

家に着く。この風体がちょっと好き。

月と山をバックに夜にそびえる高台の古民家は、ちょっとだけクロノトリガーの魔王城に初めて来た時のよう。

 

わずかばかりだけど、節目のような1日だった。自分の中の”気仙沼のために”という心がぐっと一段深くなる。

さあ、次はどこに向かって歩き出そうか?